心理学好きよっちゃんの
セカンドライフ
〜絵本「おおきな木」で振り返る〜

5.私の考え

子供に愛情を与えることはとても大切です。
子供は家族からの愛を受けて自尊心や自己肯定感を高めることができます。
しかし、「愛」とは甘やかすことだけではありません。
木のように少年の要望をすぐに叶えてしまうのではなく、少年が要望を自分で叶えられる力を身につける手助けをしてあげるべきだったと思います。
木の愛情によって少年は、困難を自分で乗り越える力を手にいれることができませんでした。
何も必要としない老人になった少年は本当に幸せだったのでしょうか。
少年の心の成長を感じられない木は本当に幸せだったのでしょうか。


日本の母親像として「心の大きさや優しさ、なんでもしてあげる人」などのイメージはないでしょうか。
最近ではイクメンや男性の育休制度など、母親が一人で子育てをする仕組みが変わってきていますが、その母親的イメージはまだまだ根強いものです。
もちろん、息子を一生懸命育てた時間は私にとってとても大切なものでした。
しかし、女の人は子供ができた途端に自分の人生をすべて子どもに捧げないといけないわけではありません。
私も昔は、このりんごの木のように、大きな心を持ち、どんなときも少年を愛し尽くし続ける姿が、理想の母親像だと思っていました。
だからこの絵本を読んでも、特に違和感を感じることはありませんでした。
しかし、実際に自分が親となり、子どもを愛し育てる経験をすることで、木のような生き方はあまりにも退屈だと感じるようになりました。
木は少年を待つ間、どんな気持ちだったでしょうか。


母親としての人生ではなく、一人の女性として、一人の人間としての人生を豊かにすることが大切なのです。
共働き家庭やひとり親家庭が増えている中で、子育ては昔よりも大変になっているかもしれません。
自分が犠牲を払わないと育てられないかもしれません。
しかし、私はこのりんごの木のように、自分を犠牲にしてまで子どもに尽くしつづける人生が美しいとは思いません。
私たちは、木ではなく人間です。親も子も、家族ではあるけれどお互い一人の人間として人生があります。
私は、息子には強く生きていく力を持ってほしいと思って育ててきました。
そのためには自分で選択する勇気が大切です。